初心者の方が水槽のメンテナンスと聞いて思い浮かべるのは、お魚を別の容器に移して、水槽の中の物を全部取り出して水槽を丸洗いするといった光景ではないでしょうか?
このように「水槽の掃除は1日がかりの大仕事」というイメージを持たれている方は多いと思います。
水槽のメンテナンスに時間や手間がかかり過ぎると、せっかくのアクアリウムが煩わしいものになってしまう事もあるでしょう。
そうならないように、ここではメンテナンスの頻度や手順について解説していきます。
生き物を元気に飼育し、綺麗な水景を維持する為に、そして楽しくアクアリウムを継続して行く為に、正しいメンテナンス方法を知っておきましょう。
アクアリウムの教本やサイトなどには「水換えは2週間に一度」などと書かれていることが多いのですが、実際の水換え頻度は飼育設備や飼育している生き物の種類・量によって変化します。
例えば、同じ水槽でも飼育している生体がネオンテトラやメダカのような小型魚と、中型の金魚や肉食魚とでは食べるエサの量やフンの量が違うので、水の汚れ方が変わります。
さらに、使用しているろ過装置の種類、水草の有無や水草の量、水草の種類など様々な要因で水の汚れ方は変化します。
と、書くと難しい事のようですが、要は水が汚れてきたら水換えをするという事です。
水換えのタイミングを知る方法にはいくつかあります。
ガラス面などにコケが付く
飼育水が濁る
異臭がする
このような症状が出たら水が汚れているサインなので、水換えを行いましょう。
上記の方法の他に、水質検査薬で有害物質の量を測るというやり方もあります。
水槽の水換えで、飼育水を全部抜いて交換するのは大きな間違いです。
急激な水質の変化は生き物にとっては大変なストレスであり、免疫力が低下して病気になったりしてしまいます。
また、飼育水の中には有害物質を分解して、きれいな水質を維持してくれるバクテリアが住み着いています。
水槽内の水を全部抜くという事は、このバクテリアも全部捨ててしまうという事なので、かえって水質が悪化しやすくなってしまいます。
交換する水の量は1/3から1/4で、汚れがひどい時でも半分までにしましょう。
水換えの時は、水槽内の清掃も一緒に行いましょう。
ガラス面の汚れやコケは、メラミンスポンジやスクレーパーで綺麗に落とします。
底床は底床クリーナーやプロホースなどを使って砂利や砂の中に溜まった汚れを取り除きます。
ソイルを使っている場合は、底床クリーナーなどを強く差し込むと粒が潰れてソイルの寿命を縮めてしまうので気を付けましょう
ろ過槽は、流量が低下したり、飼育水が汚れるスピードが速くなったと感じた時に清掃を行います。
頻繁に清掃するとバクテリアが減ってしまうので、およそ3カ月から半年を目安にしましょう。
リング型やボール型のろ材は、バケツなどに貯めた飼育水で隙間に詰まったごみを優しくすすぎ、スポンジは同じく飼育水でもみ洗いします。
この時に水道水で洗ってしまうと、せっかくのバクテリアが死滅してしまうので、必ず飼育水を使用して下さい。
また、ろ過槽の清掃と大量の換水を同時に行うと、水槽内のバクテリアが急激に減少してしまうので、ろ過槽を清掃する際は換水の量を少なめにしましょう。
※生き物は水槽内に入れたままメンテナンスします。
水槽から取り出す行為は生き物に多大なストレスを与えてしまいますので、通常のメンテナンスでは水槽に入れたまま行います。
それでは当店が行っているメンテナンスの手順の例をご紹介します。
水槽の周りを汚れないようにする
ブルーシートや吸水タオルを敷いておくと、万が一水をこぼしてしまった場合でも被害を小さくできます。
水槽内の機材の電源を切る
ろ過装置やヒーターなどの機材の電源を切ります。
電源が入ったままだと、感電やヒーターの空焚き、モーターの故障などの危険があります。
ガラスの内側を清掃する
ガラス面のコケ取りは、念入りに行います。
コケが残っていると、すぐに増殖してしまいます。
まずは表面の汚れや柔らかいコケをメラミンスポンジでこすり、残った固いコケをスクレーパーで落とします。
シリコン部分の汚れはメラミンスポンジでこすり落とします。
スクレーパーなど硬いもので強くこするとシリコンが傷ついたり剝がれたりして、水漏れの原因になるので気を付けましょう。
最後にガラス面を素手で触ってコケが残っていないか確認します。
底床の掃除をしながら水を抜く
底床内の汚れを飼育水と一緒に吸い出します。
底床の汚れがどんどん吸い出されて綺麗になるのを見ると大変気持ち良いですが、夢中になりすぎてバケツの水があふれたりしないように気を付けましょう。
底床内にもバクテリアが住み着いているので、底床を掃除する面積は1/3から半分程度までにしておきます。
前述しましたが、交換する水の量は1/3から1/4、多くても半分までにしましょう。
機材やレイアウト材を清掃する
ろ過槽の清掃をする場合は、抜いた飼育水を捨てずに残しておいて、このタイミングで行います。
取り出すことが出来る機材やレイアウト材は、取り出して清掃します。
取り出すことが難しい物を、水槽内で清掃したり無理に取り出そうとすると、レイアウトが崩壊する危険がありますので止めましょう。
レイアウトを整える
伸びすぎた水草はトリミングを行い、ずれてしまったレイアウトなどを修正します。
水を入れる
カルキを抜いて温度を合わせた水をゆっくり注ぎ入れます。
水面に浮かんだ水草の切れ端などの細かいゴミは丁寧に取り除きます。
最終チェック
最後に、全ての機材の電源を入れ正常に作動しているか、生き物に異常がないかチェックします。
これで、水槽のメンテナンスは終了です。
初心者にとっての最大の難関ともいえるメンテナンスですが、慣れてしまえば時間をかけずに出来るようになります。
上記の手順を元に、やりやすいように自分流にアレンジを加えてみたり、メンテナンスを楽にするアイテムも各メーカーから発売されていますので、使用してみるのも良いかもしれませんね。