初心者が熱帯魚飼育で一番つまづきがちなのが、初めて生き物を導入する時ではないでしょうか?
お店で水槽と熱帯魚を購入して、店員さんに言われたとおりにカルキ抜きして、水合わせもして魚を入れたのにすぐに死んでしまった…
こんな経験はありませんか?
これは、生き物が住める環境が整っていなかった事が原因でしょう。
水槽を買って水を入れただけでは生き物を飼育することはできないのです。
まずは生き物が暮らせる環境を作りましょう。
この作業を「水槽の立ち上げ」と言います。
それでは立ち上げの手順を7つのステップに分けて解説していきます。
買って来た水槽や機材は水道水で軽くすすいで埃などを洗い流しましょう。
この時に洗剤は絶対に使用してはいけません。
次に水槽を置く場所を決めます。日光が直接当たる場所はコケの原因になるので避けましょう。
水槽は一度設置すると移動することが難しくなりますので、よく考えて設置して下さい。
水槽を設置したら、この時点でレイアウトを大まかに決めてしまいましょう。
水槽を傷つけないように布を敷いたりして、石や流木などを水槽内に配置して見てもよいでしょう。
レイアウトが決まったら底床材を敷きます。
大きな石は倒れたりして水槽を傷つけることが無いように底床に埋めて固定するとよいでしょう。
底面がガラスの水槽は石を直接置くと割れてしまう場合があるので、石の下にウールマットなどでクッションを敷きます。
砂利や砂は事前によく洗い、ソイルは洗わずに使用します。
底床材を敷き終わったら、ろ過フィルターやヒーターなどの機材をセットしていきます。
機材をセットし終わったら、流木などでレイアウトします。
あとからいじくり回すと底床が舞って水が濁ったり、生体に負担をかけたりする事になるのでこの段階でしっかり配置しましょう。
水槽に水を入れます。
この時点では水道水で構いません。
この時、底床が舞い上がらないように砂利やソイルの入っていたビニール袋を敷くなどして、その上からゆっくりと水を注いでいきます。
注水し終わったら、ろ過フィルターなどの各種機材の電源を入れましょう。
各種機材が正常に動作し、水漏れなどが無い事が確認出来たら、水草を植えない場合は次のステップへ進みましょう。
水草を植える場合は、一度水を抜いて植栽し再度注水します。
水草は、注水した時に抜けて浮き上がってしまわないように、やや深めに植えることがポイントです。
まずは、カルキ抜きを入れて塩素を中和します。
この時点では水槽内に、有害物質を分解して無害な物質に変えてくれるバクテリアが存在しません。
この、有害な物質を無害化してくれるバクテリアを「ろ過バクテリア」「硝化細菌」といいます。
ここから、ろ過バクテリアを増やしていきますが、この作業を指して”水槽の立ち上げ”と呼ぶ場合もあります。
ろ過バクテリアは空気中に存在していますので、約1週間生き物を入れずにろ過フィルターを回して水を循環させます。
水が白っぽく濁ってしまった場合は、水が透明になるまで3分の1から半分ほどの水換えを1日おきに行います。
この時、エアレーション(通称ぶくぶく)をしておくと立ち上がりが早くなります。
バクテリアが水槽内に住み着いてくれたら、バクテリアのエサの素を入れていきます。
バクテリアのエサの素とは、ズバリ生き物の”💩”です。
生き物を入れてフンをしてもらい、バクテリアにどんどん増えてもらおうという訳です。
魚のフンからは生き物にとって猛毒なアンモニアが発生します。
猛毒のアンモニアは、ニトロソモナス属というバクテリアによって強い毒性の物質である亜硝酸塩に分解されます。
そして亜硝酸塩は、ニトロバクター属というバクテリアによってほぼ無害な硝酸塩に分解されます。
この流れを「硝化サイクル」といいます。
硝化サイクルを繰り返すことで、水槽やろ過槽内にバクテリアが増えていきます。
この時入れる魚を、パイロットフィッシュと呼びます。
パイロットフィッシュとは特定の魚の名前ではなく、”アカヒレ“”メダカ””ネオンテトラ”など比較的水質の悪化に強い魚の事です。
慎重に水合わせをして導入しましょう。
硝化サイクルが出来上がっていない水槽に大量の魚を入れると、バクテリアの分解が追い付かずにアンモニアが水槽内に蓄積していってしまいます。
これでは、いくら水質の悪化に強いパイロットフィッシュといえども、アンモニア中毒で死んでしまうので少ない数から始めましょう。
パイロットフィッシュの導入からしばらくはこまめに水換えを行い、有害な物質を水槽内から取り除いてあげましょう。
水換えの量は3分の1程度です。
およそ1か月経った頃、水質試験紙などで水質検査を行います。
この時、アンモニアや亜硝酸塩が検出されず、硝酸塩が検出されれば硝化サイクルが出来上がったといえます。
アンモニアや亜硝酸塩が検出された場合は、1週間ごとに測定を行い硝化サイクルが出来上がるまで待ちます。
硝化サイクルが出来上がったら、水槽の立ち上げは完了です。
いよいよ本格的に生き物を導入できます。
じっくり時間をかけて水質、水温合わせを行い、飼育したかった生き物を水槽内で泳がせてあげましょう。
この場合も急激に数を増やす事は水質の悪化につながりますので、段階を分けて少しづつ導入するようにしましょう。
これで、水槽内の環境は整いました。
あとは、日々のメンテナンスでキレイな水槽を維持していきましょう。